認可園で14年程勤めた後、私は今、障害児通所施設で子どもたちと関わる仕事をしています。
そこで日々感じているのが、「保育の現場経験がないスタッフが多い」ということ。
保育士として長年、年齢ごとの発達差や集団生活の中での子どもの姿を見てきた私にとって、これは驚きでもあり、同時にちょっとした“もどかしさ”でもありました。
「イヤイヤ」にどう向き合う?ご機嫌取りになってしまう現場
イヤイヤをする姿に出くわすとそれをなだめる事に重きを置いてしまう。
「子どもの意思を尊重する」という雰囲気を出しながら、実際はただただ子どものペースに合わせるしか術がなくなってしまう場面。
そうした状況を目にする機会が多くありました。
困った場面こそ、成長のチャンス
私は「イヤイヤ」状態になっている時こそ、向き合うべきだと思うんです。
- なぜその状態になってしまったのか
- こちらの関わり方に問題はなかったか
- 何を伝えるべきか
- どういう言葉を知らせるべきか
- どのように伝えたら良いのか
なだめる以外にもやるべきことが沢山あります。
一見困った場面こそ、その子を知るチャンス。
そしてこちらも成長するチャンスなのです。
発達障害があっても、関わり方の本質は変わらない
そして相手が「発達障害」「グレーゾーン」と呼ばれる場合であっても、私が子どもたちと向き合う姿勢は変わりません。
経験が育てる“感覚”と“引き出し”
保育現場に長年いると、様々な場面で「一筋縄じゃいかないなぁ」と感じることがあります。
そうした経験の積み重ねが、焦らず落ち着いて関われるスキルへとつながっていく。
知識ももちろん大事。でも、私は「肌で感じる経験」から得るものをとても大切にしています。
“これから”のスタッフが育つために必要なこと
誤解してほしくないのは――
現場経験が浅いスタッフたちが、決して手を抜いているわけではないということ。
むしろ、子どもに対して真剣で、優しくて、真っ直ぐに向き合おうとしている姿に、尊敬する部分もたくさんあります。
ただ、子どもが癇癪を起こしたり、イヤイヤを爆発させたりしたときに、どう関わればいいのか分からず、一時的な「ご機嫌取り」になってしまう場面を見ると、「本当はもっとできる関わりがあるのに…」と、歯がゆく感じてしまうことがあるんです。
私自身、保育の現場で何年もかけて、子どもの発達や気持ち、集団の中でのやりとりを“肌で感じながら”学んできました。
これは知識だけでは身につかない、経験から得た“感覚”のようなものです。
誰もが学び合える現場を目指して
私自身、14年以上保育現場にいても、まだまだ勉強不足だと感じることはたくさんあります。
だからこそ、今一緒に働く仲間たちともっと安心して学び合える環境がほしいと願っています。
誰かを責めたいわけではありません。
「経験がない人はダメ」と言いたいわけでもありません。
子どもにとって大切なのは、「理解しようとする大人」
経験のある人も、ない人も。
どちらも必要な存在です。
でも、だからこそサポート体制や、実践に基づく研修や振り返りの機会を充実させて、誰もが安心して学び合える現場が増えていったらいいなと思っています。
最後に…
子どもにとって本当に必要なのは、「理解しようとしてくれる大人」。
そして、それを支える「育ちあえるチーム」。
そんな現場がもっと増えたらいいなと、心から願っています。
もし、あなたの周りでも同じようなもどかしさや葛藤を感じたことがあれば、ぜひその声も聞かせてください。一緒に学び合える仲間が増えることを願って。
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