保育士として長年現場に立ってきました。
今はこども園でフリーとして働く一方、障害児通所施設やシッターの現場でも子どもたちと向き合っています。
保育の現場では、日々たくさんの「気づき」や「疑問」に出会います。
このnoteでは、そうした日々の体験を、私なりの視点で言葉にしていけたらと思っています。
今回は、1歳児クラスにお手伝いで入ったときのお話です。
お手伝いで見えた景色
先日、1歳児クラスにお手伝いとして入る機会がありました。普段は違う年齢の子どもたちと関わっている私にとって、1歳児クラスは久しぶりの現場でした。
クラスによって、園によって、又担任の先生によって、進め方や方針は様々。(保育所保育指針が根底にあるとは言え…)
新しい発見や学びを期待しつつ、ほんの少し緊張した気持ちでその日を迎えました。
けれど、実際にクラスに入ってみると、思っていた以上に「ん?」と感じる場面がいくつもありました。
玩具が足りない?感じた違和感
まず最初に驚いたのが、玩具の少なさでした。子どもたちの人数に対して明らかに足りないと感じるおもちゃたち。
取り合いになってしまうのも無理はなく、泣いたり怒ったりする姿があちこちで見られました。
「取り合いも経験のうち」と言われることもありますが、最初からもう少し余裕を持っておもちゃがあれば、無用な争いを減らせるのではないか……そんなことを考えてしまいました。
また、その玩具はクラスの子どもたちに合っているのか疑問を感じずにはいられませんでした。
なぜそう感じたかと言うと、【子どもたちが遊んでいない!!!】
玩具を出した直後は興味を持って群がります。取り合いにもなります。
でも、遊べていないんです。
だから保育室中に玩具が散らばったままで子どもたちはウロウロしているだけ…という何とも言えない光景がそこにはありました。
保育室の棚には玩具は常備されておらず、「今日はこのおもちゃで遊ぶよ」スタイル。
選ぶ楽しさはどこへ?
日々玩具に触れる中で遊びが広がり発展していくものだと思うのですが、毎日コロコロ大人のさじ加減でドバーッとおもちゃを出して「さぁ、今はこのおもちゃで遊びなさい」という過ごし方に「なぜ?」という思いしか出てきませんでした。
子どものペースより、大人の都合?
それに加えて気になったのが、保育の流れ。
1歳児クラスは月齢によって本当に成長段階が幅広いです。
私はそういうクラスで何でもかんでも「一斉に」はもう時代遅れすぎるんじゃないかと思うのです。
例えば給食の時間。
すでに盛り付け・配膳が済んだ状態のテーブルに20人近い子どもたちがドドド―ッと自分のスペースまで移動するのですが…。
「あ!!ご飯触っちゃダメ!」
「まだスプーンは持たない!」
「いただきますしてないのにまだ食べちゃダメ!!」
という声が飛び交うんですね。
でもちょっと待とう。
触るよね、どう考えても。
だってそこにあるんだもの。
で、目が行き届かなくなっているんですよ。
一気に20人近くの1歳児が動くから。
約20人の子どもたちがエプロンを付け終えて手指消毒を終えて、全員でいただきますをして、、そこで初めて子どもたちは食事をスタートする事ができるんです。
1歳児にここまで待たせる必要はあるのか?
この方法で効率よく回っているならまだしも、子どもを見切れない状況ができてしまっているという悪循環。
3人担任がいて1人もそこに疑問を持たないのかな…と。
食後も同様で、20人全員でごちそうさまをして一斉にお布団へ移動。
着替えが必要な子、トントンしてほしい子、ママが恋しくて泣き出す子、うんちをする子。。。
もうめちゃくちゃです。
全て一斉でやる意味は何なのか。
大人のやり方でごちゃごちゃさせてしまっているような気がしてならないのです。
「ママがいい」と泣く子に、どう寄り添う?
そして、もっとも心に残ったのが、「ママがいい」と泣いている子への声かけでした。
寂しさを必死に言葉にしているその子に対して、「ママはお仕事でしょ」「泣いてても楽しくならないよ」と、突き放すような言葉がけがされていたのです。
そしてお友達のママがお迎えに来るタイミングで「あ、ママ来たよ(笑)」とふざけて声を掛ける先生も。
ママに会いたいその子はパッと顔をあげるけれども、ママじゃないとわかってまた泣き出す。。。
そんな意地悪な声掛けあるかなぁ(´;ω;`)
遊びに目を向けられたらと思うけど、前述した通り玩具がないからやる事もないしね…。
保育とは?保育士とは?
これは有資格者がここにいる必要はあるのか???と感じてしまいました。
言いたくても言えない…それでも思うこと
私の中には確かに「なんで?」「もっとこうすればいいのに」という思いがありました。けれど、それをすぐに言える立場ではないという現実。現場の空気、流れ、先生たちのやり方――そのすべてを無視して自分の考えを押し通すことはできません。
でも、そういう違和感やもやもやを感じたこと自体には、意味があると信じたいのです。
“子ども目線”の保育を大切にしたい
今回の経験を通して、自分が大切にしたい保育のあり方を改めて考えさせられました。子どもの気持ちに寄り添うこと、ひとりひとりと丁寧に向き合うこと。決して簡単なことではないけれど、それでも忘れたくない大切な軸です。
これは、あくまで“お手伝い”として見えた景色。
でも、だからこそ見えたこともあるはず。自分の中に湧いた疑問や想いを、これからも言葉にしていきたいと思います。
そして自身の保育の振り返りをしながら、自分自身も改めるべきところはないかを常に見直していきたいです。
保育士は誰でもできる仕事だって言われる事が多いけど、そんな言葉を耳にして本当に悔しいけど、このままじゃ本当にそうなっていくよ。
資格さえとればいい訳じゃないんだよ。
資格をとって現場に出て、実際の子どもの姿からさらに学んでいくんだよ。
実践してみて反省して次に生かして、その繰り返しをしながら成長していくんだよ、私たち自身が。
「これでOK」なんて事はまずないから、絶対に。
沢山の子どもたちの大切な1日を預かっている事を忘れちゃいけないよ。
自戒も込めてではありますが、「本当にこれでいいのかな?」の視点は常に持っていたいと強く思う日々です。
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